カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
社長室に足を踏み入れると、すでに秘書と役員数名が待機していた。

秘書とは、あくまで城ケ崎ホールディングスの社員だ。真鍋のように社長の公私すべてを管理する個人秘書とは立場が違う。

「ご無沙汰しております社長。ご多忙のところお時間をくださり感謝申し上げます」

「状況があまり好ましくないようだな。常々気になっていた」

本来であれば別の仕事で海外へ直行するはずだったが、家を出るのが遅くなってしまったせいで、くしくもこちらの会議を優先することとなった。

気にしていたのは本当のことで、経営状況を逐一報告してもらってはいたものの、どうも総司の思う方向に事が進んでいないらしく、不穏な連絡ばかり。

そろそろ舵取りに戻らなければと思っていたところだったからちょうどいい。

「早速聞かせてくれ」

執務卓に腰を据えると「その前に社長、確認させてください」と秘書が申し訳なさそうに切り出した。

「つい先ほど、アポイントのないお客様がいらっしゃいまして」

普通ならアポイントのない訪問など受けない。というか、常識を持った人間は、アポイントなしで社長に会おうなどと考えない。門前払いだ。

だが、わざわざそんな無作法な人間の来訪を報告するということは、相手がただ者ではないということを表しており――。


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