カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
(守ってやりたいという気持ちも、理解できなくはない、か)

放っておけないというべきか。隙だらけで見ていると心配になる女性だ。

先ほどもコーヒーを勧められたが、財閥の新妻が主人のいない家で男性とふたりきりのティータイムはまずいだろう。

これは面白そうだとつい出来心が頭をよぎったが、彼女のなんの下心もない目に毒気を抜かれ、丁重にお断りした。

(自覚がないのだろうな)

自分の魅力に。そして、総司からたっぷりと愛情を注がれていることに。

ぼんやりと考えを巡らせながら城ケ崎家の敷地を出ると。

曲がり角にこちらの様子をうかがう不審な人影が見え、わずかに警戒心が湧き上がった。

この車が立ち去るのをじっと見つめるあの男。誰だったか……なんとなく見覚えがあるような。

車を少し走らせたところで、やっとその顔を思い出した。

(あれは……まさか……)

清良と一緒に写真に写っていた男――院瀬見鞠花いわく『不倫相手』だったか。服装と印象があまりに違っていたから、すぐにはピンとこなかった。

(まさか、家にまで押しかけてくるとは……)

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