カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
わっと飛びついてくる彼女をかき抱く。

わずかに震えている小さな身体から、彼女がどれほどの恐怖を味わっていたかが伝わってきた。

「遅れてすまない」

「っ、ごめんなさい……!」

「なぜ君が謝る。無事ならそれでいい」

総司は清良の身体をそっと離し、怪我がないかを確かめる。

胸元が乱れている……第一ボタンを引きちぎられたようだ。

その程度で済んだことを幸いに感じながらも、自分の妻を手にかけようとした男への激しい怒りに奥歯を食いしばる。

自分の到着が遅れていたら、きっと取り返しのつかないことになっていただろう。

いっそうこらえようのない憤りが湧き上がってきて、射殺すような目で床に転がる男を睨んだ。

男は怯えたように身を竦め、あわあわと言い募る。

「……その、違うんだ、ちょっと悪戯してやれって、頼まれて……」

「その言い訳は警察にしてもらおうか」

財閥、社長、オーナーという立場がなければ、この男を心ゆくまで殴り締め上げていただろう。

やはり肩書きとは堅苦しいだけだ、そう苛立ちながら総司は懐から携帯端末を取り出す。

通報される――そう気づいた男は「ま、待ってくれ!」と血相を変えて立ち上がった。

男が縋りつこうとしてくるのを、総司は目で制する。
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