カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
「そうじゃなくて」

彼女が首を横に振ると、焦げ茶色の髪がふわりとなびいて肩に落ちた。

「どこかで見ていてくれたんですよね? きっとお仕事の邪魔をしてしまったと思うから……」

ああ、と総司は清良の言いたいことを理解する。

タイミングよく現れたことが不思議なのだろう。監視でもしていると思ったか。

「真鍋が近所でうろつく怪しい男を見たと報告してくれてな。心配で居ても立ってもいられず会議を飛び出してきてしまった」

らしからぬ行いに自嘲する。あれだけ『仕事優先』『想いを寄せられても困る』と公言していたにも関わらず、自分がこの様では。

会議を飛び出してきたと聞いて蒼白になった清良が慌てて謝罪する。

「ごめんなさい、私のせいで……! これじゃあ何のために契約したのか――」

「いい。目先の仕事より、妻のほうが心配だった。俺は自分のやりたいようにやっただけだ」

清良はさっぱりわからないといった顔で総司を見つめている。

仕事よりも妻を選んだことがそんなに意外だっただろうか。 

「……自分でも、意外ではあるが」

「……総司さん……?」

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