カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
「そんな顔をするな。後悔などしていない。どうやら自分でも思っていた以上に、君のことが大切になってしまったらしい」

どこか他人事のように言う。自分で口にしていて信じられなかった。仕事よりも妻が大事、これが今の自分の本心だというのか。

こんなにも他人に愛情を感じたのはいつぶりだろう。

あの事件が起きてから、女性を愛するという気持ちをどこかに置き忘れてしまっていた。

「……以前、信頼していた人物に家の中を探られたことがあった」

ぽつりとこぼした言葉に、清良は大きく目を瞬かせる。

「家の鍵を渡していた女性だ。結婚も考えていた。だが彼女は、俺の仕事上の機密情報を金に換えようとしたらしい。他人を家に引き入れ、部屋を好き勝手あさり、金になる情報を盗み出そうとした」

情報の流出は免れたものの、信頼していた女性に裏切られたという衝撃は消えなかった。

しばらくはわかりやすく落ち込んでいたものだ。仕事が全く手につかず、周囲にも迷惑をかけてしまった。

それ以来、総司は他人を信じることをやめた。特定の女性と親しくなることも。

自分に好意を示す人間ほど裏がある、そう疑うようになった。実際、その通りであることはとても多かった。

「他人を家に入れるなと忠告したのは、そういう経緯だ。どんな人間だろうが簡単に裏切る。信用できない」

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