カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
「へぇ。気を失うほど窮屈なコルセットといい、人質といい。君は本当に時代錯誤な人間だな」

興味を引かれたようで、彼の姿勢が前のめりになる。

人の事情に首を突っ込んで楽しげに笑う様子はとびきり悪趣味。紳士に見えたのは上辺だけだったのだろうか?

「で? 一体何を脅されている。退屈凌ぎに聞いてやる」

手脚を組んでチェアにゆるりともたれたかと思えば、威圧的な眼差しを清良へ向ける。

「言っておくが、俺は機嫌が悪い。君が倒れたおかげで、招待客のご機嫌取りができなかったうえに、会食もキャンセルになった。潰された予定分の娯楽を提供してくれないなら、すぐさま替え玉の件を院瀬見議員に訴えて責任を取らせる」

鋭い目で睨まれて、清良はぶるっと身を震わせる。

彼は楽しんでいるわけではなかった。激しく憤っているのだ。

自分の予定を邪魔したものが一体なんであったのか、そこに価値はあるのか。確かめようと、あるいは非難しようとしているのだろう。

彼の言い分はもっともだ。非があるのはこちら。

かくして清良は初対面の男性相手に、不遇な身の上話をすることとなった。


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