カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
この日、仲根はいっそう眩しそうに清良を眺めた。

「天羽さん、どんどんあか抜けていくね……もはや怖いくらいだよ……」

ブランド名はわからずとも、身に付けているものすべてが一級品であることは明らか。

トロい田舎娘が、都会的なレディに生まれ変わっていく姿はミラクルとしか言いようがなかった。

「なんか肌艶もよくなったような……エステとか行ってる?」

「え……? 行ってませんけど……?」

「じゃあ、愛のパワーか。若いっていいわね……」

ため息をつく仲根を、清良はキョトンと見つめる。仲根はコホンとひとつ咳ばらいをすると、気分を入れ替えるように伸びをした。

「さ。今日もテキパキ終わらせて定時に帰ろう。まずは何だっけ?」

「定例の勤怠管理のチェックに加えて、労務関連の資料のまとめです。考える振りくらいしてくださいよー……」

「こんなに優秀なマネージャーがいるのに、考える必要ある?」

相変わらず仲根は開き直って怠けようとするが、今さら抗議したところで無駄である。それに、頼ってもらえるのはそこまで悪い気分ではない。

「じゃあ、私は勤怠管理を。労務のほうはお願いしますね。イマイチまだ把握しきれてなくて」

「じゃあ試しにやってみる? いい勉強になるよ?」

「全部私に押しつけようとしないでください」

ふたり仲良く並んでパソコンに向き合う。

清良の取りまとめがいいせいか、ふたりの息が合っているのか、今日も定時までにはちゃんと仕事が片付いた。

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