カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
「嬉しいです。こんなに大きな花束をもらったのは初めて……」

「喜んでくれてよかった。定番のセリフを言ってやろうか」

おもむろに清良の顎を押し上げ、顔を近づける。精悍な目で見据えられ、鼓動がドクドクと高鳴った。

やがて、整った形をした唇から愛の言葉が放たれる。

「花よりもお前のほうが、何倍も美しい」

清良の顔がぼっっっと火がついたように赤くなる。総司の誠実な表情が、じわじわと意地悪に変わっていった。

「はは。こんなベタなセリフを本気で喜んでくれるのはお前くらいなものだろう」

「からかわないでくださいっ!」

ぽか、と腕を叩いて抗議すると、総司は笑い声を上げながら、着替えのためにリビングを出ていった。

彼がいなくなっても、頬の熱は収まらない。現金なことに、つい先ほどまで自分を苦しめていた悩みは、頭の端っこに押しやられてしまった。



花は三つの花瓶に分けて、玄関、リビング、寝室に飾った。清良がリビングに戻ってきて夕食の仕上げをしていると、着替え終わった総司がノートPCを脇に抱えてやってきた。

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