カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
退職が白紙に戻り、一カ月が経過した。仕事上は至って順調、以前と変わりない日々を過ごしている。
その日は、定例の仕事に加えイレギュラーな作業が多く発生し、気がつけば定時。
残りの作業を確認し、あと一時間もあれば終わりそうだと目処を立てると、仲根は清良へ先に帰るよう促した。
「いいよいいよ、たまには私がやるから」
最近の仲根は、どうやら清良が退職しようとした件をまだ気にしているらしく、変に気を回したがる。
後輩には優しくしないと辞められてしまうかも……と不安に感じているのかもしれない。
「あの、私は大丈夫ですよ。いつも通り、分担で――」
「いいのいいのー、この前も代わってもらったし!」
どうぞどうぞと譲り合っていると、内線電話が鳴り出したので、清良はすぐさまデスクの上の子機に手を伸ばした。
「はい、総務部の天羽です」
受話口を耳に当てワントーン高い声で応えると。
『一階受付です。天羽様にお客様がいらしております』
どうやらオフィスビルの入口にある受付カウンターからのようだ。