カラダで結ばれた契約夫婦~敏腕社長の新妻は今夜も愛に溺れる~
「これまで何度も恋人に『会いたい』と駄々をこねられ、喧嘩別れしてきた。俺は仕事が第一優先だ。そこを譲る気はない。理解のあるドライなパートナーが必要だ」

一向に戻ってこない夫を待つ妻の心情。その苦痛が理解できるからこそ、恋愛結婚はしたくないのだという。

だから愛のない清良に妻という〝仕事〟を頼みたいのだそうだ。

ただ従順に待ち続けることができる女性。我慢強く、じっと耐え忍ぶ精神力。

いっそ、自分の存在は忘れてくれていいという。

ただ、他人から「結婚していますか?」という質問をされたときだけ、左手の薬指に光る指輪を見せながら、笑顔で「はい」と答えてほしい。

それが、清良と総司の間で交わされた契約だ。

「君となら、新しい関係を築けそうだ」

揚々とそんなことを言って、ハンドルを握る彼。

だが、ひとつだけ総司は読み違えていた。ドライなパートナーを求めているというのなら、清良を抱くべきではなかった。

清良の中では、初めて身体を許した男性として、特別な感情が生まれつつある。

身体の関係をドライに受け止められるほど、恋愛に手慣れた女ではない。

練習と言って気まぐれにキスをされたり、周囲へのカモフラージュのために腰を抱かれたりする度に、清良の心はぞくぞくと高揚し、抗い難い感情が膨れていく。

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