新」世界で唯一のヒーラーは生殺与奪を握っている。復讐の物語り
 アリシアは小脇に抱えていた木箱を地面に置いた。木箱に空の小さなビンが敷き詰めれている。アリシアはそこからビンを一本、一本取り出して自分の前に並べていく。一本のビンを手に取るとアリシアは湖の中に沈めていく。空き瓶だったビンに湖の透明な水が空き瓶一杯に満たされるとアリシアはビンに蓋をした。

 アリシアは次々と空き瓶に水を汲んで、50本のビンがアリシアの前に並んだ。組み終えたときにアリシアの薄手の白いワンピースドレスの袖と裾はびしょ濡れになったいたが、アリシアは次の作業に取り掛かる。

 目の前のビンを1本取ると、大事そうに隙間を空けて両手で包み込むように覆った。それからアリシアはその青色の瞳をそっと閉じる。意識をビンの中の水、その中心に集中した。 アリシアはヒールと流麗な声で唱えた。

 淡い金色の光がビンを包み込み、次の瞬間に水は透明から青く変色した。空の色のように変色したビンをアリシアは満足そうに見つめていた。
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