捨てられたはずが、赤ちゃんごと極上御曹司の愛妻になりました
「拓馬さんのお母様って、私のこと邪険にしてないんですか?」
「おそらく。母は昔からなんでも俺に強制させたりはしないんだ。口うるさいのは父のほう」
最悪、ご両親ともに反感を買うかもと考えていた。お母様だけでも私たちの関係を理解してくれるかもしれないって可能性があるだけで、随分心が軽い。
途中、お母様は廊下を右へ行ったが、拓馬さんは左へ方向転換した。
角を曲がってすぐの襖を開ける。
「ここが客間」
「ひ、広い……」
十五畳くらいありそうな和室には、艶のある重厚感のある座卓。シンプルな照明と、その横の床の間には盆栽が飾られている。
私は落ち着かず、そわそわと立つ場所さえ決めあぐねていたら、襖の向こう側から人の声が聞こえてきた。
話し声は徐々に近づいてくる。なにやら、男の人が機嫌悪そうになにか言っているようだ。
無意識に廊下へ意識を向けていたら、スッと襖が開いた。
「拓馬!?」
「親父!」
入室してきたのは、拓馬さんのお父様だった。ふたりは互いに驚いた声を上げ、目を丸くしている。
「こんな夜に客人っていったい誰かと思えば……」
つぶやくお父様の後方には、佐野さんがいた。
お父様の様子から察するに、やっぱり彼が今夜私たちがここへ来るように指示したわけではなさそうだ。私に伝言した佐野さんを見ても、目すら合わせてくれない。
真相がわからず顔を顰めていたら、私の存在に気づいたらしいお父様が、嫌味交じりで話しかけてきた。
「これはこれは。まさか昨日の今日で顔を見ることになるとは。私の提案を受け入れる気になったということかな」
私がキッと鋭い視線を向けたときに、拓馬さんが訝し気に零す。
「提案?」
「こちらが提示した病院でDNA検査をしたのち、正式に社長のご令孫とわかれば養子にもらう……という件です」
拓馬さんの疑問に粛々と答えたのは佐野さん。
「はあ!? 冗談もいい加減に」
「冗談なものか。お前はなにも気にせず、見合った令嬢と結婚するのがいい。なにもわざわざお荷物を背負う必要はない」
拓馬さんが声を荒らげるも一蹴するお父様に、冷静に先を考えるよりも先に口が勝手に動いた。
「撤回してください」
「おそらく。母は昔からなんでも俺に強制させたりはしないんだ。口うるさいのは父のほう」
最悪、ご両親ともに反感を買うかもと考えていた。お母様だけでも私たちの関係を理解してくれるかもしれないって可能性があるだけで、随分心が軽い。
途中、お母様は廊下を右へ行ったが、拓馬さんは左へ方向転換した。
角を曲がってすぐの襖を開ける。
「ここが客間」
「ひ、広い……」
十五畳くらいありそうな和室には、艶のある重厚感のある座卓。シンプルな照明と、その横の床の間には盆栽が飾られている。
私は落ち着かず、そわそわと立つ場所さえ決めあぐねていたら、襖の向こう側から人の声が聞こえてきた。
話し声は徐々に近づいてくる。なにやら、男の人が機嫌悪そうになにか言っているようだ。
無意識に廊下へ意識を向けていたら、スッと襖が開いた。
「拓馬!?」
「親父!」
入室してきたのは、拓馬さんのお父様だった。ふたりは互いに驚いた声を上げ、目を丸くしている。
「こんな夜に客人っていったい誰かと思えば……」
つぶやくお父様の後方には、佐野さんがいた。
お父様の様子から察するに、やっぱり彼が今夜私たちがここへ来るように指示したわけではなさそうだ。私に伝言した佐野さんを見ても、目すら合わせてくれない。
真相がわからず顔を顰めていたら、私の存在に気づいたらしいお父様が、嫌味交じりで話しかけてきた。
「これはこれは。まさか昨日の今日で顔を見ることになるとは。私の提案を受け入れる気になったということかな」
私がキッと鋭い視線を向けたときに、拓馬さんが訝し気に零す。
「提案?」
「こちらが提示した病院でDNA検査をしたのち、正式に社長のご令孫とわかれば養子にもらう……という件です」
拓馬さんの疑問に粛々と答えたのは佐野さん。
「はあ!? 冗談もいい加減に」
「冗談なものか。お前はなにも気にせず、見合った令嬢と結婚するのがいい。なにもわざわざお荷物を背負う必要はない」
拓馬さんが声を荒らげるも一蹴するお父様に、冷静に先を考えるよりも先に口が勝手に動いた。
「撤回してください」