捨てられたはずが、赤ちゃんごと極上御曹司の愛妻になりました
 私の一声に、三人の視線が集中する。

 だけど、私は怯まなかった。

「息子はお荷物なんかじゃない。私と……拓馬さんの生きる源です」

 それは絶対に揺らがない事実。私はなにを言われても、理玖を侮辱するのは許さない。

「だから、本当に佐渡谷家の血を引く子なら引き取ると言ってるだろう。まあ、大体にしてそれも疑わしいが」

 私が言葉を発するよりも先に、拓馬さんが動いた。……が、掴みかかる直前に再び襖が開いて、客間の時間が一瞬止まった。

「おお。役者は揃ってるな。いやあ、金木犀を剪定を頼んでいたら遅くなってしまって。すまないすまない」

 場にそぐわない陽気な雰囲気で介入してきた年配の男性に唖然とする。

「父さん! いったいなんの真似ですか、これは!」

 一番に声をかけたのは、拓馬さんのお父様。

『父さん』っていうことは……拓馬さんのお祖父様?

「わたしをわざわざ呼び出したのは、まさかこの娘と会わせるためとか言いませんよね?」

 そのひとことを聞いて、お祖父様に視線を移した。

 この人が今日の予定を……?

 お父様以上に、お祖父様の話は聞いたことがないから、真意が掴めない。

 お祖父様の動向を窺っていると、急に高笑いを始めた。
 驚いたのは私だけじゃなく、拓馬さんもお父様も、呆気に取られている。
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