予想外の妊娠ですが、極上社長は身ごもり妻の心も体も娶りたい
 役員用の社用車や俺や綾人の車が並ぶ駐車場の片隅で、所在無さげに立つ吉木の後ろ姿を見た途端、胸を打つ鼓動がわずかに速くなった。
 
 なに緊張しているんだ。

 自分にあきれつつ、「吉木」と声をかける。



「悪い、待たせたか」

 俺の声を聞いて、細い肩がぴくんと震えた。

 それからゆっくりと振り返り、彼女の視線がこちらに向けられる。


「い、いえ。さっき来たところです」
 
 吉木は少し緊張した固い声でそう言う。
 
 社内でどんなに探しても、彼女の影すら見ることができなかったから、吉木の顔を見るのは久しぶりだ。


「辻さんから、社長が私と話をしたいと言っていると聞いたんですが」

 駐車場で立ったまま本題に入ろうとする彼女に、苦笑いをする。

「強引に誘って悪かった。とりあえず食事にでも行こう」

 俺が車の助手席を開けると、吉木は慌てたように首を横に振った。

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