予想外の妊娠ですが、極上社長は身ごもり妻の心も体も娶りたい
「こんな場所で痴話げんかをしているのが悪いと思うよ」

 うらめしげな視線を向ける俺を見て、綾人は悪びれもせずくすくすと笑う。

「で。どうしたの? 声を荒げて言い合いをするなんて、兄さんらしくない」
「……吉木が妊娠した」

 短く答えると、さすがの綾人も驚いたのか目を丸くした。

「それは、故意に?」
「いや」

 首を横に振りながら、あの夜を思い出す。
 
 最初はちゃんと避妊していたけれど、一度熱を放った後、我慢できずにそのまま続けて彼女を抱いた。
 
 普段ならそんな不用意なことは絶対にしないのに、まるで『体から出ていかないで』と甘えるようにしめつける吉木がかわいくて、理性が崩れた。


「あー……。原因はあれか……」

 額に手を当てつぶやいた。

 吉木は『社長は悪くない』と言っていたけれど、完全に俺のせいだ。

「心当たりがあるんだ?」

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