予想外の妊娠ですが、極上社長は身ごもり妻の心も体も娶りたい
 綾人にため息をつかれ、俺はうなずく。

 出張から帰ってきた俺を、吉木があからさまに避けるようになったのは、妊娠が発覚したからだったのか。

 だとしても、どうして俺に相談してくれなかったんだ。


 妊娠を知った俺が、責任も取らずに『おろせ』と言うと思ったのだろうか。

 俺はそんなに信用がないのか。

 
 泣きながら俺に訴える吉木の顔を思い出して、胸がじりじりと焼け付く。

「どういう経緯でこうなったの?」
 
 たずねる綾人に就任パーティーの夜のことを簡単に説明する。

 すると話を聞き終わった綾人は心底あきれたように大きなため息をついた。


「そりゃ、兄さんみたいな最低な男に、妊娠したなんて相談できないと思うよ」
「は? 俺が最低?」

 吉木をひとり残したのは予定が入っていたから仕方がなかった。

 その後会社でちゃんと話そうとしたのに彼女に避け続けられた。


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