予想外の妊娠ですが、極上社長は身ごもり妻の心も体も娶りたい
 震える声で言うと、父は「仕事だと?」と鼻で笑った。

「女が仕事にしがみついて、そこに未来があるのか? 一生ひとりで暮らすつもりか? 病気になったらどうする。働けなくなったらどうする。今はいいかもしれないが、将来後悔することになる」

 父の言葉に、呼吸が苦しくなる。

 たしかにひとりで働き暮らしていくのは大変だ。

 いつ病気になるかもしれない。
 大きな事故にあってケガをするかもしれない。

 だけど、そんなこと男だろうが女だろうが、結婚していようがひとりだろうが、関係ない。

 誰だって、自分の選んだ人生が正解かどうかは、そのときになってみないとわからないんだから。

「私に興味もないくせに、人の人生を勝手に決めないで」

 膝の上に置いた手を、ぎゅっと握りしめながら言うと、父がようやくこちらを見た。

 その眉間には深いしわが刻まれていた。

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