予想外の妊娠ですが、極上社長は身ごもり妻の心も体も娶りたい
「お怒りはごもっともです。ですが、これから自分のすべてをかけて、香澄さんを幸せにしたいと思っています」
「お前が香澄を幸せになんて……っ!」

 うめくように言いながら父が歯を食いしばる。

 歯ぎしりの音が聞こえてきそうなほどの怒りが伝わってきた。
 
 父が立ち尽くしたままこぶしをきつく握る。
 
 もしかしたらこのまま逆上して社長を殴るんじゃ……。そう思った私は青ざめた。
 
 六十歳近いとはいえ、父はまだ現役で、毎日工場で働いている。

 腕っぷしは弱くないはずだ。

 そんな父に社長が殴られて、ケガでもしたら大変だ。



「待って、お父さん。社長は悪くないの! 全部私のせいだから……っ」

 今にもこぶしを振り上げそうな父の前に出て必死に訴える。

 社長を守らないと。そのことで頭がいっぱいだった。

「吉木、なにやってるんだ!」

 社長が驚いた声で私の名前を呼ぶ。

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