予想外の妊娠ですが、極上社長は身ごもり妻の心も体も娶りたい
 氷水でしっかり冷やした極細のカッペリーニはのど越しがよく、トマトの酸味とかすかなアンチョビの香り、そして口の中をさっぱりさせる大葉の味に頬がほころぶ。


「おいしいです」

 そう言うと、社長が笑顔になる。

「よかった」

 甘い声と優しい視線に、頬に熱が集まる。

 誤魔化すようにフォークを動かしていると、社長が思い出したように口を開いた。

「そういえば、あさっては有休を申請していたよな。なにか用事があるのか?」
「あ、妊婦健診の予約をしているので、クリニックに行こうと……」

 私が答え終わる前に、社長が「何時だ」と真顔で問う。

「え?」
「健診の予約は何時からだ」
「ええと、十時ですが」

 ぽかんとしながら答えると、社長はスマホのアプリでスケジュールを確認する。

「場所は?」

 立て続けに質問され、私はクリニックの名前と住所を教える。

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