予想外の妊娠ですが、極上社長は身ごもり妻の心も体も娶りたい
 力強い兄の言葉に、鼻の奥がつんとして瞳がうるむ。

「はい……っ」

 なんとかこらえようとしたけれど、やっぱり我慢できなくてぽろりと涙がこぼれた。








 話が終わると兄は「じゃあそろそろ帰るかな」と言って立ち上がった。

「わざわざこんな遠いところまでありがとう」
「いや、お前のためだけに東京に来たわけじゃないし」
「そうなの?」

 首を傾げた私に、兄はうなずく。

「こっちで新しい取引先と商談するために来たんだ。お前はそのついで」

 だから気にするな、と言外に私に伝えてくれる。

「今ある取引先だけに頼っていたら、業績は落ちていく一方ってわかっているから、新しい可能性をちゃんと模索してる」
「知らなかった……」
「俺だって、いやいや工場を継いだわけじゃないし、やるからには成功したいって野心もある。これでも有能な二代目だって期待されているんだからな」

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