予想外の妊娠ですが、極上社長は身ごもり妻の心も体も娶りたい
 そんなことを数度繰り返し、自分のペースを乱されるくらいなら特定の恋人は作らずひとりでいる方が楽だと気づいた。
 
 それなのに自分の会社の人間に、しかも直属の部下にキスをしてくれとねだられて、面倒だと思うよりも素直にかわいいと感じてしまうなんて。
 
 眉をよせた俺を見て、吉木は慌てたように口を開く。

「す、すみません! やっぱり今のはなかったことに……っ」

 そう言って立ち上がり、俺の隣から逃げ出そうとする吉木。

 俺は無意識にその腕に手を伸ばす。

 面倒なことになるとわかっていて、どうして彼女を引き留めたのか自分でも理解できなかったけれど、考えるよりも前に体が動いていた。

「いいよ」
「え……?」
 
 俺の言葉を聞いて、吉木が信じられないというようにこちらを振り返り目をみはる。

 自分から言い出したくせに、なぜか断られて当然だと思っていたようだ。

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