予想外の妊娠ですが、極上社長は身ごもり妻の心も体も娶りたい
『ベッドの中の吉木はとてもかわいかった』とか、『またゆっくりふたりで会いたい』とか。

 そんな言葉を添えようかと思ったけれど、三十代の男が手紙で女を口説くなんて気持ち悪いなと考え直し、結局素っ気ない文章になった。

 少しでも長く無防備な寝顔を見ていたくて、ベッドのはしに腰かけたまま吉木の頬をなぞる。

 吉木はぐっすりと眠っていて、起きる気配はなかった。

 俺のせいで疲れているんだろう。わずかな罪悪感が湧いてくる。
 
 無理をさせてしまったから、彼女が起きたときにどこか体が痛むかもしれない。
 歩くのもつらいかもしれない。

 そんなことを考えるとさらに離れがたくなる。
 
 俺が側にいられたら、いろいろ世話を焼いて自宅まで送ってやれるのに。
 
 せめて、タクシー代くらいおいておいてもいいだろうか。
 
 そう思い、財布から数枚お札を出して手紙の横に置いた。

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