予想外の妊娠ですが、極上社長は身ごもり妻の心も体も娶りたい
 辻さんと社長のやりとりを、私はテーブルの下で息をひそめながら聞いていた。

 用件だけ伝えてすぐに出ていくと思ったのに、社長はその場に立ったままなにか考えるように黙り込む。

 そして、しばらくしてから辻さんに話しかけた。


「辻、吉木は……」

 きっと、テーブルの上にある食べかけのサラダを見て、さっきまでそこに私がいたことを悟ったんだろう。

 辻さんがさりげなくこちらに視線をなげる。
 

 テーブルの下で両手を合わせ、必死に『私が隠れていることは黙っていてください』と目で訴えると、彼女は小さく笑った。

「さっきまでいたんですけど、お手洗いにでも行ったんですかね」
「……そうか」

 その表情は見えないけれど、社長の声が心なしか沈んだように聞こえた。

 いや、そんなの私の思い込みだ。

 社長が私がいないだけでがっかりするはずがない。


 
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