予想外の妊娠ですが、極上社長は身ごもり妻の心も体も娶りたい
「お礼にデートに誘おうと思ったんだけどナァ。香澄ちゃんは今日何時にお仕事終わるかわかる?」

 お礼にデートだと? 遊びなれたフランス人のロベールと恋愛経験の少ない吉木をふたりきりにするなんて、危険すぎる。

 辻にたずねるロベールを見て、俺は慌てて口をはさんだ。

「わざわざ時間を割いていただかなくても、吉木には私からきちんと伝えておきます」

 私から、の部分に力を込めて言うと、横から「ぶふっ」と妙な音がした。

 振り向くと、辻が口元を押さえ笑いをこらえていた。


 むっとして眉をひそめた俺を見て、辻は咳ばらいをひとつしてからすました顔で背筋を伸ばす。

 すると、個室の扉が開き前菜が運ばれてきた。

「じゃあ、柊人くんの社長就任のお祝いをしようか」

 にっこりと微笑んだロベールにうなずいて、俺もグラスを持ち上げた。





 



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