予想外の妊娠ですが、極上社長は身ごもり妻の心も体も娶りたい
 俺の白いシャツの胸元に彼女の口紅がついていた。

「どうしよう。キスマークをつけちゃいました」
 
 口では謝罪しているが、少しも動揺していない。

 どうやら転んだところから、彼女の計画通りだったらしい。


「社に着替えは用意してあるので、大丈夫です」
 
 彼女を支えていた腕をほどくと、甘えるような視線を向けられた。


「もしよかったら、今度お食事に行きませんか? シャツを汚してしまったお詫びと、社長就任のお祝いをさせてほしいなぁ」

 小首をかしげる彼女の瞳の奥には、打算と媚びが見えた。

 美人だとは思うが、こうやって迫られても少しも心が動かない。


 俺の冷めた表情に気付かず、彼女はバッグから名刺を取り出す。

 そこには手書きでプライベート用の連絡先が書き込まれていた。


「いつでもいいので、連絡ください。でも、私待つのは苦手なんで、柊人さんの連絡先も知りたいです」
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