予想外の妊娠ですが、極上社長は身ごもり妻の心も体も娶りたい
 それだけじゃなく、さりげない会話の中で講演を頼まれていると言えば、翌日には資料を用意してあったり、新たな企業と取引するときには、その会社の役員や経営情報をわかりやすくまとめてくれたり。

 俺がストレスなくスムーズに仕事ができるように、細やかにサポートしてくれていた。

 
 そんな彼女の気遣いにようやく気付き、たまらない気持ちになった。

 
 控えめで前にでることなく、いつも陰から俺を支えてくれていた。

 そんな彼女に俺はどれだけ甘やかされていたんだろう。


 
 エレベーターの狭い箱の中、俺は前を向いたまま口を開いた。

「さっき、吉木を綾人の秘書にという話をしたが」
「はい」

 俺の言葉に、辻がちらりと横目でこちらを見た。

 その視線を感じながら続ける。


「悪いが、俺は吉木を手放したくない」

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