■王とメイドの切ない恋物語■
私は部屋に帰ってからも、さっきのドキドキが、おさまらなかった。

私の体に、まだトーマ様の温もりが、残っている。




きゃーきゃー!

顔も真っ赤だ。

どうして、いきなりあんなことになっちゃったの?

まさか、トーマ様に私が抱き締められるなんて。

ベットに横になり、天井を見つめた。




トーマ様は、まるで愛しい恋人を抱き締めているような感じで、私を抱き締めていた。


優しく、抱き締められた瞬間、本当に頭が真っ白で、時が止まったかと思った。


思い出すと、またドキドキしてくる。


トーマ様と踊れただけで、私は、すごくすごくうれしくて、ドキドキして、幸せだった。




なのに、その上抱き締められるなんて…

うれしすぎるよーっ

あの後、トーマ様は私を部屋まで送ってくれて、おやすみと優しく笑うと帰っていった。

あの、はにかんだような笑顔が忘れられない。




トーマ様…

トーマ様は、エリザベス姫が好きなんじゃないの?

あれは私の勘違い?




私に、あんなことするなんて、もしかして…?

そんなわけないか。

トーマ様がメイドの私なんかに、恋してるとは思えないし

んー…


よし、とっ とりあえず落ち着こう。

大きく深呼吸する。

ふぅー

私は起き上がって、お茶を一口飲んだ。


トーマ様が、どんな気持ちで抱き締めたのかは、わからないけど、本当に幸せだった。

うれしかった。

またこんなことないかなって、ちょっと期待してしまいそうだよ。





トーマ様、好きです…

大好き。

これ以上優しくされると、気持ちを押さえ込められなくなっちゃうよ。

あーっ もう…


胸のドキドキが、なかなか納まらない私が、ようやく眠りについたのは、夜中の二時をまわっていた。


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