■王とメイドの切ない恋物語■
どのくらい経っただろうか?
いつの間にか、トーマ様は寝てしまったみたいだ。
きっと、今までの無理が、疲れとなって出たのだろう。
私は、ゆっくりトーマ様に近づいてみる。
トーマ様の寝顔は無邪気で、
こうしてみると、まだ19歳というのも、うなづける。
かわいい寝顔。
私はそれを見て、更に、トーマ様への愛しさが募った。
少しだけ…
私は、トーマ様が起きないように、そっとトーマ様の頭をなでた。
さらさらした髪の毛が、私の指の間をすり抜けていった。
「トーマ様…」
私は愛しい人の名前を、つぶやいてみた。
大好きだよ・・
このまま、ずっと寝顔を見つめていたいところだけど、トーマ様が起きたとき、こんな近くで、私がトーマ様を見つめているのを気が付かれたら、恥ずかしい。
私は立ち上がった。
ちょっと、湖の周りを、散歩してこようかな。
私は湖の方へ、歩きだした。
そんな私の背中を、そっと目を開けたトーマ様が優しく見送っていたなんて、私は全く気が付いていなかった。