■王とメイドの切ない恋物語■
「あー、もう本当楽しいよーっ」



私は、海水でびしょ濡れのまま、砂浜に転がった。

気持ちいい。

それを見て、エリックも隣に転がり込んでくる。

「リリア、弾けすぎ。めちゃ面白いわ」

エリックは、寝転んだまま、伸びをした。

「来てよかったよ、すごい楽しいもん」

砂をつまんで、サラサラ落としてみる。


「そうだな、俺も来てよかったよ」

エリックも嬉しそうに目を閉じた。



エリックって、本当に海が似合うと思う。

焼けた肌に、たくましい体。

まさに夏男って感じだ。

ちらっとエリックを見る。

エリックは、まだ目を閉じている。


ちょっとイタズラしちゃおかな。

私は、そーっと起き上がり、エリックの額に小さい貝を並べてみた。


ぷぷぷ


笑いが込み上げてくる。

男らしいエリックと、可愛い貝が非常にミスマッチだ。





もっと並べようと、エリックに近づいた時、


「リリアーっ」

エリックが目を開け、起き上がり私を押し倒した。

「リリア、俺が気付いてないとでも思ったわけ?」

エリックがニヤリとした。

そんなエリックの顔を見上げたら、なんと、貝がまだ額にくっついていた。


「ぷぷぷーっ」

笑いが止まらない。


「なんだよー」

エリックが私を見る。


「だって、だってまだ貝が、ひたいに!あはははは」

笑いすぎて、涙が出てきた。


「本当によー、リリアには、かなわないな」

エリックが、手で額をはらう。


< 184 / 396 >

この作品をシェア

pagetop