■王とメイドの切ない恋物語■
散々笑ったあと、ふと我にかえると、


この状態、他から見て、かなり怪しくない?


エリックが、私を押し倒したままになっている。

なんだか急に、恥ずかしくなってきた。


エリックを見ると、まだ貝がついてるんじゃないか?と、おでこを触っている。


「エリック、エリック」

私がエリックを呼ぶと、

「なんだ?」

優しい顔をしたエリックが、私を見つめた。


ますます、はずかしいよ。

私は真っ赤になりながら、

「エリック、この状態、すごく恥ずかしいんですけど」


と、つぶやくと、エリックは、はっと気が付き、


「ごめんっ!」

あわてて私から離れた。

二人で赤くなった。



近くを、小さなカニが通った。


「カニだね」

「うん、カニだ」

会話も、心なしか、ぎこちない。





少しして、遠くの方から、

「エリックーっ ジュリアが探してたぞ」


と、エリックを呼ぶ声が聞こえた。

「おー!今行く!」

エリックは立ち上がり、砂をはらった。


私を見て、


「さっきはごめんな、また後で」

そう言って走っていった。

私は、1人で海を見つめた。


ドキドキしちゃったよ。

もー、エリックったら…


私も立ち上がり、チチリさん達の所へ向かった。
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