■王とメイドの切ない恋物語■

エリックの気持ち

心地いい時間が過ぎる。

気持ちいいな。


私が海を見つめていると、


「よっ」

「あ、エリック」

エリックが来て、私の隣に座った。

ジュリアとの話は終わったのかな?

「ここで何してたんだ?」

「ん?特に。ただ海を見てただけだよ」

この前、チチリさんに、

エリックは、私のこと気になってるって言われたから、2人きりだと、ちょっと意識してしまうよ。




エリックは、近くにあった石を海に投げた。

「今日は楽しかったな」

と、エリックがつぶやく。私は頷いた。

「うん、みんな大はしゃぎだったよね。楽しかった。私なんか、ずっとはしゃいでたから日焼けしちゃってヒリヒリしてるよ」

と、腕を指す。


「あはは。リリア、海、初めてだったもんな」

エリックの笑顔が、まぶしい。

2人で海を見つめる。

ちょうど夕暮れ時で、海がオレンジに染まっていく。

ざざーんと、波の音が繰り返し聞こえてくる。

遠くの方で、チチリさん達の笑い声も、聞こえてくる。

「海っていいね」

私は、思ったまま口にした。


「そうだな」

エリックも、静かに海を見つめている。


あと数分で、太陽も完全に沈むだろう。


「そろそろ、みんなの所に戻ろうかな」

私はそう言って立ち上がり、おしりについた砂を払った。


「エリックも一緒に…」




「行くなよ」

え?



エリックは立ち上がり、私を後ろから抱き締めた。

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