政略妻は冷徹ドクターの溺愛に囚われる~不協和結婚~
最近那智が見た変化らしい変化といえば、皮肉げな冷笑だけ。
今も、薄く目蓋を開いて――。
「……ふっ」
目が合った途端、精いっぱいの抵抗で睨む彼女を、鼻で笑う。
「キスの最中で、俺を睨んでいられるとは、なかなか余裕だな」
ほんの少しも、呼吸を乱す様子はない。
耳馴染みのいい少々低いトーンの声は、意地悪なことを言っているのに、なぜか甘く鼓膜に響く。
「ああ……それとも、『そんなところじゃ感じない』と、文句を言いたい?」
際どい挑発と同時に、その中指で敏感なところをグリッと抉られ、
「っ、あ、んっ……!」
那智は不覚にも甲高い声で喘ぎ、身体を戦慄かせてしまった。
「そろそろ、いい……か」
男は、スッと指を抜いた。
わざと銀糸を引かせながら舌を引っ込め、ベッドを軋ませて背を起こす。
那智は、形のいい胸を荒い呼吸で上下させ、涙の膜で曇った視界で、一糸も纏わぬ男を見上げた。
普段のスレンダーな白衣姿からは想像もつかない、引き締まった厚い胸板。
ほどよく割れた腹筋。
滑らかな肌はしっとり汗ばんでいて、ルームライトに照らされて陰影を作り、艶めかしく浮かび上がる。
今も、薄く目蓋を開いて――。
「……ふっ」
目が合った途端、精いっぱいの抵抗で睨む彼女を、鼻で笑う。
「キスの最中で、俺を睨んでいられるとは、なかなか余裕だな」
ほんの少しも、呼吸を乱す様子はない。
耳馴染みのいい少々低いトーンの声は、意地悪なことを言っているのに、なぜか甘く鼓膜に響く。
「ああ……それとも、『そんなところじゃ感じない』と、文句を言いたい?」
際どい挑発と同時に、その中指で敏感なところをグリッと抉られ、
「っ、あ、んっ……!」
那智は不覚にも甲高い声で喘ぎ、身体を戦慄かせてしまった。
「そろそろ、いい……か」
男は、スッと指を抜いた。
わざと銀糸を引かせながら舌を引っ込め、ベッドを軋ませて背を起こす。
那智は、形のいい胸を荒い呼吸で上下させ、涙の膜で曇った視界で、一糸も纏わぬ男を見上げた。
普段のスレンダーな白衣姿からは想像もつかない、引き締まった厚い胸板。
ほどよく割れた腹筋。
滑らかな肌はしっとり汗ばんでいて、ルームライトに照らされて陰影を作り、艶めかしく浮かび上がる。