小悪魔王子に見つかりました
「木野、浅海さんっ!頼んだ!」
「おう」
ものすごいスピードでやってきた寧衣くんから木野くんがバトンを受け取る。
そのパスが、あまりにも息がぴったりで。
「せーのっ」
木野くんの声に合わせて、私たちはすぐに風を切って走り出した。
大丈夫、練習通りに。
落ち着いて、確実に。
「1、2、1、2……」
足を出すタイミングを声で合わせながら。
「1、2、1、2、」
よし、これなら大丈夫だ。
安心しながら、あと半分でゴールだ、という時だった。
あれっ……。
気のせい、かな。
なんだか、木野くんの足を出すペースが早くなっている気がした。
いや、気のせいじゃない。
でも、こんなタイミングで声なんてかけたら、余計、集中できなくなっちゃうかも知れない。
ゴールを目の前に、無意識に焦っているのかも。
あと少し、あと少しだから。
私が頑張って合わせればいい。
そう身体に力を入れた瞬間。
「あっ、」
「っ?!」
前に出した右足が強く引っ張られた感じがして。
あっという間だった。