小悪魔王子に見つかりました



あれから、授業が終わるたびに井手上さんたちが私の席にやってきては話しかけてくれて。

『浅海さんのこと、姫茉って呼んでいいかな?私のことは羽芽でいいから!』

そう言われて『うん』と返事をしたけれど、急に今日から名前呼びなんて、

呼ぶのも呼ばれるのも緊張してしまう。
羽芽ちゃんって呼んで、いいのかな。

高校で女の子に名前で呼ばれるなんてはじめてのことだから、嬉しいけれど。

予想外の展開すぎて。

そしてやってきたお昼休み。

机を何個かくっつけて弁当を広げて羽芽ちゃんが口を開いた。

「姫茉は覚えていないかもしれないけど、受験の日、私、助けてもらったのよ」

「……受験の日?」

髪の毛がいっさい視界を邪魔しない状態で人前で話すのはまだまだ緊張してしまう。

グループのみんなも、羽芽ちゃんの話に前のめりだ。
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