イジワル御曹司は偽のフィアンセ様❤︎
「あの、専務は出張でおりませんが……」

『はい。わかってますが、間も無く戻られるんですよね』

なんで知ってるの? もしかしたら課長が守衛さんに話したとか?
でも私の鼓動は不安を抱える様にドキドキしていた。

「そうですが……お客様はお一人ですか?」

すると守衛さんはためらう様に間を開け、お子様連れの女性ですと答えた。

「わかりました。私がそちらに行きます。申し訳ありませんがエントランスにご案内していただけますか?」

電話を切ると、は〜っと大きなため息を吐いた。
相手はわかっている。
駅でみたあの親子だろう。
専務が帰国する日を知っていた。しかも会社に寄ることも知っていたんだ。
どうしよう。緊張と不安が一気に押し寄せ胸が苦しい。
いや、そんなことよりまずはエントランスに行かなくちゃ。
エレベーターに乗り1階エントランスへと向かった。
扉が開くとエントランスは照明が落とされ薄暗い。しかも正直会いたくない相手。
恐怖さえ感じる。
守衛さんの例の親子は受付カウンターにいた。
女性は子供を抱っこしていて顔はよく見えない。
守衛さんが私と目が合うと、恐縮する様に何度も頭を下げた。

「すみません。お待たせしました」

「じゃあ、私は失礼します。帰られる時は申し訳ないですがお声をかけてください」

「はい」
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