契約夫婦の蜜夜事情~エリート社長はかりそめ妻を独占したくて堪らない~
「僕の方は、早く結婚して発表もしたいって言ってるんだけど、彼女の方がなかなか踏ん切りがつかないみたいで。今待ってる状態なんだよ」
「えー! 副社長からのプロポーズを待たせるなんてありえない!」
七瀬は大げさに声をあげるけれど、孝也はひょいと肩を竦めるだけだった。
「まぁ、こういうことは女性の方がいろいろ大変なんだろうね。だからできれば彼女の気持ちを大切にしたいと思って待ってるんだけど。…でもさっきの田所店長の話を聞いて、あまり悠長に待ってるのも考えものかもしれないとも思ったよ。目立たないように見える女性でも密かに狙われているってこともあるみたいだね。…ちょっと強引にでも話を進めた方がいいのかもしれない」
晴香にだけわかるような不穏な言葉を吐いて、孝也はよいしょと立ち上がる。
どうやら雑談はここまでにして、本社へ帰るつもりらしい。
皆、彼を見送るため、出口へ向かう彼に続いた。七瀬は心底がっかりして、田所は思ったよりもたくさんのゴシップを仕入れられたと上機嫌で。
帰りぎわ、ドアに手をついて孝也が振り返る。
そして晴香をジッと見つめて、ニヤリと笑った。
「ちょっと、喋りすぎたかな。…おつかれさま」
「えー! 副社長からのプロポーズを待たせるなんてありえない!」
七瀬は大げさに声をあげるけれど、孝也はひょいと肩を竦めるだけだった。
「まぁ、こういうことは女性の方がいろいろ大変なんだろうね。だからできれば彼女の気持ちを大切にしたいと思って待ってるんだけど。…でもさっきの田所店長の話を聞いて、あまり悠長に待ってるのも考えものかもしれないとも思ったよ。目立たないように見える女性でも密かに狙われているってこともあるみたいだね。…ちょっと強引にでも話を進めた方がいいのかもしれない」
晴香にだけわかるような不穏な言葉を吐いて、孝也はよいしょと立ち上がる。
どうやら雑談はここまでにして、本社へ帰るつもりらしい。
皆、彼を見送るため、出口へ向かう彼に続いた。七瀬は心底がっかりして、田所は思ったよりもたくさんのゴシップを仕入れられたと上機嫌で。
帰りぎわ、ドアに手をついて孝也が振り返る。
そして晴香をジッと見つめて、ニヤリと笑った。
「ちょっと、喋りすぎたかな。…おつかれさま」