契約夫婦の蜜夜事情~エリート社長はかりそめ妻を独占したくて堪らない~
港店には三人しかいないけれど、本社にはもっとたくさんの女性社員がいる。きっと大騒ぎになってるに違いなかった。
孝也が肩を揺らしてくっくと笑った。
「なるほどね。だから夕方本社に帰ったとき、ヒソヒソ言われてたんだな」
注目されることに慣れている孝也からしたらなんでもないことなのかもしれない。でも事態は晴香にとっては、もう少し複雑だった。
「大鳥さんが、孝也の彼女は私に似てるらしいっていうのも流しちゃったみたいで、それについても皆んなの関心を引いちゃってるの。普段はあんまり連絡を取らない同期からも、メールがきたりしてびっくりしちゃった」
勤続年数はそれなりだが、注目されるのが苦手で、いつも地味に目立たないようにしてきた晴香にとっては、大事件だ。
だがそんな晴香の困惑を他所に、孝也はまたくっくと笑う。
「だってその通りなんだから、仕方がないよね」
「もうっ! 孝也にはわからないのよ。目立つことが苦手な人の気持ちは」
晴香は頬を膨らませて声をあげる。
孝也が笑うのをやめて、腕を組んだ。そして少し考えるように首を傾げて、晴香をジッと見つめた。
「俺、婚約話を否定してから今日みたいなことが増えて、ちょっとうんざりしてたんだよ。晴香との結婚まで公にできたらこんなことにはならなかったんだろうけどそういうわけにはいかないし。晴香が結婚のことをまだ言えないのは仕方がないと思うけど、なら少しくらいは協力してくれてもいいんじゃない?」
孝也が肩を揺らしてくっくと笑った。
「なるほどね。だから夕方本社に帰ったとき、ヒソヒソ言われてたんだな」
注目されることに慣れている孝也からしたらなんでもないことなのかもしれない。でも事態は晴香にとっては、もう少し複雑だった。
「大鳥さんが、孝也の彼女は私に似てるらしいっていうのも流しちゃったみたいで、それについても皆んなの関心を引いちゃってるの。普段はあんまり連絡を取らない同期からも、メールがきたりしてびっくりしちゃった」
勤続年数はそれなりだが、注目されるのが苦手で、いつも地味に目立たないようにしてきた晴香にとっては、大事件だ。
だがそんな晴香の困惑を他所に、孝也はまたくっくと笑う。
「だってその通りなんだから、仕方がないよね」
「もうっ! 孝也にはわからないのよ。目立つことが苦手な人の気持ちは」
晴香は頬を膨らませて声をあげる。
孝也が笑うのをやめて、腕を組んだ。そして少し考えるように首を傾げて、晴香をジッと見つめた。
「俺、婚約話を否定してから今日みたいなことが増えて、ちょっとうんざりしてたんだよ。晴香との結婚まで公にできたらこんなことにはならなかったんだろうけどそういうわけにはいかないし。晴香が結婚のことをまだ言えないのは仕方がないと思うけど、なら少しくらいは協力してくれてもいいんじゃない?」