契約夫婦の蜜夜事情~エリート社長はかりそめ妻を独占したくて堪らない~
至極まっとうな孝也の意見に晴香はぐっと言葉に詰まった。
結婚したことを隠しているのは会社で平穏に過ごしたいという完全なる晴香の都合からだ。
孝也がフリーでいたなら騒がれるのは目に見えているのだから、結婚を前提に付き合っている恋人がいるということにしておけば少しはやりやすくなるという孝也の意見もうなずける。
でもだからってなにもあそこまで具体的に彼女像を話さなくてもよかったのに、と晴香は思う。噂にはあっという間に尾ヒレがついて、社員の中には孝也の恋人は晴香だと聞いたという者まで現れた。
それで真相を確かめようと晴香にメールがきたのである。もちろん晴香は否定をしたが、つまりは嘘をついたことになるわけで、もうほとんど連絡を取り合わない仲の同期だとはいえ、それなりに胸が痛んだ。
でも元はといえば自分のわがままから起きたことなのだと思うと、返す言葉が見つからなくて晴香は黙り込んだ。
そんな晴香に、孝也が畳み掛けるように言葉を続けた。
「それに、晴香が港店の営業マンたちに人気があるっていうのも聞き捨てならなかった。ちょっと強引に話を進めようかなって言ったのは本当だよ。晴香が覚悟を決めるためにはどうすればいいか今考えているところなんだ」
腕を組んだまま孝也は晴香をじろりと睨む。その瞳の中に不穏な色を見つけてしまい晴香は慌てて口を開いた。
「あ、あれは本当に店長の冗談なの! 港店の営業さんたちは皆んな気さくでいい人ばかりだけど、店長の言うようなことは一切ない。本当に」
「どうだか」
孝也はそれを一蹴した。
結婚したことを隠しているのは会社で平穏に過ごしたいという完全なる晴香の都合からだ。
孝也がフリーでいたなら騒がれるのは目に見えているのだから、結婚を前提に付き合っている恋人がいるということにしておけば少しはやりやすくなるという孝也の意見もうなずける。
でもだからってなにもあそこまで具体的に彼女像を話さなくてもよかったのに、と晴香は思う。噂にはあっという間に尾ヒレがついて、社員の中には孝也の恋人は晴香だと聞いたという者まで現れた。
それで真相を確かめようと晴香にメールがきたのである。もちろん晴香は否定をしたが、つまりは嘘をついたことになるわけで、もうほとんど連絡を取り合わない仲の同期だとはいえ、それなりに胸が痛んだ。
でも元はといえば自分のわがままから起きたことなのだと思うと、返す言葉が見つからなくて晴香は黙り込んだ。
そんな晴香に、孝也が畳み掛けるように言葉を続けた。
「それに、晴香が港店の営業マンたちに人気があるっていうのも聞き捨てならなかった。ちょっと強引に話を進めようかなって言ったのは本当だよ。晴香が覚悟を決めるためにはどうすればいいか今考えているところなんだ」
腕を組んだまま孝也は晴香をじろりと睨む。その瞳の中に不穏な色を見つけてしまい晴香は慌てて口を開いた。
「あ、あれは本当に店長の冗談なの! 港店の営業さんたちは皆んな気さくでいい人ばかりだけど、店長の言うようなことは一切ない。本当に」
「どうだか」
孝也はそれを一蹴した。