契約夫婦の蜜夜事情~エリート社長はかりそめ妻を独占したくて堪らない~
 晴香が言い終わらないうちに、孝也がちゅっと音を立てて、晴香の頬にキスをした。

「た、孝也?! …んっ!」

 今度は唇に。
 そしてそのまま目を白黒させている晴香の耳や首に次々とキスを落としてゆく。
 ちゅっ、ちゅっという音がふたりだけのプールに響いた。

「っ…! た、たか、や」

 見た目より柔らかい孝也の唇の感触が自分の肌に触れるたびに冷えたはずの晴香の肌はまた温度を上げてゆく。
 晴香は孝也にぎゅっとしがみついた。

「なに? 晴香」

 孝也がくすりと笑って晴香の耳に囁いた。

「ダ、ダメ」

「どうして?」

 また耳に囁かれる甘い響きに、晴香の背中はぞくぞくとする。その感触に耐えながら晴香は一生懸命に首を振った。

「だって…」

 いくらふたりだけとはいえ、ここはプールでしかも外、このように触れ合う場所ではないと晴香は思う。
 孝也が一旦攻撃をやめて晴香をじっと見つめた。

「っ…!」

 その少し熱のこもったその眼差しに晴香の胸は痛いくらいに音を立てる。水の中にいるとは思えないほど身体が熱くなってゆく。
 孝也の視線がゆっくりと、晴香の肌を辿るように移動して、首元の辺りでピタリと止まった。そしてその綺麗な目を細めてふわりと微笑む。

「晴香が髪を上げているの、珍しいよね。学生時代はよくポニーテールにしてたのに」

「そ、そうだったかな。…今は、プールに入るからっ…」

 "髪を上げたの"と、晴香は最後まで言うことができない。孝也が晴香のうなじにそっと触れて、ひと筋垂れた後毛に指を絡めた。
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