契約夫婦の蜜夜事情~エリート社長はかりそめ妻を独占したくて堪らない~
「いや、こちらはもう帰るところだったんです。お気になさらずに」
と言った。
そして孝也の方を見てニヤリと笑う。
「でも久我君が結婚をしていたなんて初耳だな」
「最近なんです。…まだ式も挙げていませんから」
孝也が少し言いにくいように答える。そして晴香に向かって目の前の男性を紹介した。
「こちらは僕の前の会社…藤堂不動産の藤堂副社長だよ。僕がこっちに来ていると知って駆けつけて下さったんだ」
晴香は突然の大物登場にびっくりして、慌てて頭を下げた。
「は、初めてまして。きた…く、久我晴香です。『セントラルホーム』で営業事務をしております」
晴香は反射的に会社名と所属まで名乗ってしまう。藤堂不動産といえば国内の不動産業界の頂点に立つ会社だ。その副社長だという人物を前に頭の中が一瞬にして仕事モードに切り替わってしまった。
動揺して真っ赤になってしまった晴香を見て、藤堂が少し意外そうに口を開いた。
「社員さんなんだ」
そしてからかうような眼差しを孝也に向けた。
「ええ、まぁ…。でも彼女は幼なじみでもありますから」
言い訳のように孝也は言う。まるで社員に手を出したわけではないと言いたげなその様子に、藤堂はぷっと吹き出してはははと笑った。そして、ひとしきり笑ってから、晴香をジッと見つめて口を開いた。
「晴香さん」
「はい」
「久我君は、うちの会社では入社した年からからずば抜けて優秀な社員だったんです。しかも優秀なだけではなく、多くの人に愛される信用できる人物だ。我が社は毎年たくさんの社員を採用するが、ここまでの人物はなかなかいない。だからいずれは本社に呼んで役員に…と思っていたんですが、私がぐずぐずしている間に、『セントラルホーム』の社長にかっさらわれてしまった」
と言った。
そして孝也の方を見てニヤリと笑う。
「でも久我君が結婚をしていたなんて初耳だな」
「最近なんです。…まだ式も挙げていませんから」
孝也が少し言いにくいように答える。そして晴香に向かって目の前の男性を紹介した。
「こちらは僕の前の会社…藤堂不動産の藤堂副社長だよ。僕がこっちに来ていると知って駆けつけて下さったんだ」
晴香は突然の大物登場にびっくりして、慌てて頭を下げた。
「は、初めてまして。きた…く、久我晴香です。『セントラルホーム』で営業事務をしております」
晴香は反射的に会社名と所属まで名乗ってしまう。藤堂不動産といえば国内の不動産業界の頂点に立つ会社だ。その副社長だという人物を前に頭の中が一瞬にして仕事モードに切り替わってしまった。
動揺して真っ赤になってしまった晴香を見て、藤堂が少し意外そうに口を開いた。
「社員さんなんだ」
そしてからかうような眼差しを孝也に向けた。
「ええ、まぁ…。でも彼女は幼なじみでもありますから」
言い訳のように孝也は言う。まるで社員に手を出したわけではないと言いたげなその様子に、藤堂はぷっと吹き出してはははと笑った。そして、ひとしきり笑ってから、晴香をジッと見つめて口を開いた。
「晴香さん」
「はい」
「久我君は、うちの会社では入社した年からからずば抜けて優秀な社員だったんです。しかも優秀なだけではなく、多くの人に愛される信用できる人物だ。我が社は毎年たくさんの社員を採用するが、ここまでの人物はなかなかいない。だからいずれは本社に呼んで役員に…と思っていたんですが、私がぐずぐずしている間に、『セントラルホーム』の社長にかっさらわれてしまった」