契約夫婦の蜜夜事情~エリート社長はかりそめ妻を独占したくて堪らない~
「孝也、孝也ってば」

 ベッドで枕に顔を埋めたままの孝也のつむじを指で突いて、晴香は彼の名前を呼ぶ。
 わかりやすく落ち込むその背中がなんだか可愛らしく思えて、晴香はくすくすと笑いが止まらなかった。
 一世一代の晴香の告白は、結局孝也によって中断されてしまった。ふたりの間にあったすれ違いをすり合わせるまもなく、孝也の気持ちが爆発したからである。
 晴香の疑問をねじ伏せるようなキスを交わしたあとベッドにもつれ込んで服を脱ぐのももどかしくふたりはそのまま愛し合った。
 歳下のくせにこういうことに関してはいつもどこか余裕たっぷりだったはずの孝也は、別人のように貪欲に晴香を求めた。晴香の身体の隅々まで、自分のしるしをつけるのだとでもいうように晴香のすべてに口づけた。
 それは一度愛し合ったあと、バスルームに移動してからも終わらなかった。 
 一秒たりとも譲らないとでもいうように彼は晴香を離さなかった。
 そうしてそのままもう一度愛し合ったあと、ベッドでくたくたになって目を閉じようとした晴香が目にしたのは、隣で落ち込む孝也だった。
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