契約夫婦の蜜夜事情~エリート社長はかりそめ妻を独占したくて堪らない~
「それにしても本当に信じられないくらい最高の気分だよ。晴香と結婚できるなら、どんな形でもいいって思ってたけど、こんな風に晴香を腕に抱けるなんて」

 そう言って孝也は晴香の頭に頬ずりをする。そしてまだちょっと湿った一つまとめにしてある晴香の髪に顔を埋めて深呼吸するみたいに息を吸った。

「晴香の匂い…大好きだ。ずっとずっとずっと、こうしたかった。結婚してからは、理由をつけて触れるようになったけど、もう理由なんかなくても触れるんだ」

 孝也の鼻は晴香の頭から耳のすぐそばまで下りてくる。そしてその辺りをくすぐるように辿りながら、うなじに到達した。

「んっ…」

 そこに触れる唇の感触に晴香は思わず声を漏らす。さっき散々愛を交わしたというのに、柔らかい感触にまた身体が反応してしまうのを、とても恥ずかしく思いながら。
 思わず漏れた晴香の声に応えるように、孝也はそこを優しく食む。

「んっ…ダ、ダメ」

 また声が漏れてしまって、これ以上は無理だと晴香は孝也を言葉で止める。孝也の方はそんな晴香を無視するようにちゅっちゅと音を立てて愛撫を続けた。
 そして以前言っていた言葉を繰り返した。

「俺、晴香のポニーテール好きだったな。学生時代よくしてたよね。…見るたびにこうしたくてたまらなかったんだ。でも家族みたいな存在の晴香に、そんな気持ち持っちゃいけないって思って、あの頃はつらかった。他の人を好きになろうって思っていろんな子と付き合ったけど、どうしても無理だった」
< 185 / 206 >

この作品をシェア

pagetop