契約夫婦の蜜夜事情~エリート社長はかりそめ妻を独占したくて堪らない~
「いや~それにしても、副社長こんなにいい男なのに、結婚を焦らすなんて、北見さんもなかなかやるね」
田所がにこにことして晴香を見る。晴香は一瞬なにを言われているのかがわからずに首を傾げた。でもすぐに、お盆の休みの前に孝也が港店でしていた話を思い出した。
そうだあの時彼はプロポーズを保留にされているというありもしない話をしたんだった。
晴香は、「あれは違うんです」と言いかけて、寸前で思いとどまる。なにかも嘘だったとバレたら、不快に思われるかもしれない。
代わりに孝也の方が答えた。
「本当に手強かったです。彼女は」
どうやらその設定はそのままいくのだと納得して、晴香は曖昧に微笑む。
孝也はずっと晴香をその気にさせるためにあれこれしていたという話だから、そういう視点で見れば彼の言葉はまったくの嘘というわけでもないだろう。
そんな孝也に、若い営業マンが身を乗り出して興味深々といった様子で問いかけた。
「じゃあ副社長はどうやって北見さんからオッケーをもらったんですか。僕、その手強いっていうのなんだかわかる気がするんです。…もうずっと前の話だから許してほしいんですけど、僕、北見さんに憧れていた時期があるんですよ。でもそれとなく話を持ちかけてもいつも華麗にスルーされて…結局撃沈したんです。今から考えたら、副社長相手に勝てっこなかったなって思いますけど。でも副社長はどんな風にアプローチしたのか、可能なら知りたいです。今後のためにも」
田所がにこにことして晴香を見る。晴香は一瞬なにを言われているのかがわからずに首を傾げた。でもすぐに、お盆の休みの前に孝也が港店でしていた話を思い出した。
そうだあの時彼はプロポーズを保留にされているというありもしない話をしたんだった。
晴香は、「あれは違うんです」と言いかけて、寸前で思いとどまる。なにかも嘘だったとバレたら、不快に思われるかもしれない。
代わりに孝也の方が答えた。
「本当に手強かったです。彼女は」
どうやらその設定はそのままいくのだと納得して、晴香は曖昧に微笑む。
孝也はずっと晴香をその気にさせるためにあれこれしていたという話だから、そういう視点で見れば彼の言葉はまったくの嘘というわけでもないだろう。
そんな孝也に、若い営業マンが身を乗り出して興味深々といった様子で問いかけた。
「じゃあ副社長はどうやって北見さんからオッケーをもらったんですか。僕、その手強いっていうのなんだかわかる気がするんです。…もうずっと前の話だから許してほしいんですけど、僕、北見さんに憧れていた時期があるんですよ。でもそれとなく話を持ちかけてもいつも華麗にスルーされて…結局撃沈したんです。今から考えたら、副社長相手に勝てっこなかったなって思いますけど。でも副社長はどんな風にアプローチしたのか、可能なら知りたいです。今後のためにも」