契約夫婦の蜜夜事情~エリート社長はかりそめ妻を独占したくて堪らない~
「でもあんな風に皆の前で言うことなかったのに…」
いくらゴシップ好きの田所に聞かれたとはいえ、孝也なら適当にごまかすことだってできたはず。港店のメンバーは皆気の良い人たちばかりだから、これからの仕事に差し障りがあるということにはならないだろうが、それでもあれもこれも知られていると思うと、晴香の方はそうはいかない。
「大丈夫だよ」
孝也が、なんでもないことのように言った。
「ああやって初めに何もかも話してしまっておけば、皆満足してすぐに興味がなくなるよ。隠されるとよけいに知りたくなるのが人のさがなんだから」
そんなものなのかなぁと晴香は首を傾げる。
「それにしても」
孝也が肩を揺らしてくっくと笑った。
「今日一日ですっかり俺は、晴香のストーカー扱いだな」
「孝也ったら…」
港店のメンバーのテーブルで暴露された孝也の話は、瞬く間に会場中に広がった。
そして、どうやら副社長は相当なりふり構わず北見さんに迫ったようだという普段の孝也らしからぬ話は、まず男性社員の支持を得た。
どこからどう見ても完璧な副社長でも恋愛に苦戦するのだと、親近感を覚えた社員たちが多くいたようだ。
一方で、女性社員はその逆だった。ひとことでいえば、"ドン引きした"といったところだろうか。いつもスマートな副社長のイメージが一気に崩壊してしまったようだ。
交流会が始まった時は、どこかトゲのある視線を晴香に送っていた本社勤務の女性社員たちですら、同情するように晴香を見て、
「なんか…ちょっと大変ね。まぁ、とにかく…頑張って」
と言う始末だった。
副社長の人気に陰りが出たらどうしようと晴香は密かに心配したが、今こうしてお腹を抱えて笑っている孝也を見る限り、痛くも痒くもないのだろう。
いくらゴシップ好きの田所に聞かれたとはいえ、孝也なら適当にごまかすことだってできたはず。港店のメンバーは皆気の良い人たちばかりだから、これからの仕事に差し障りがあるということにはならないだろうが、それでもあれもこれも知られていると思うと、晴香の方はそうはいかない。
「大丈夫だよ」
孝也が、なんでもないことのように言った。
「ああやって初めに何もかも話してしまっておけば、皆満足してすぐに興味がなくなるよ。隠されるとよけいに知りたくなるのが人のさがなんだから」
そんなものなのかなぁと晴香は首を傾げる。
「それにしても」
孝也が肩を揺らしてくっくと笑った。
「今日一日ですっかり俺は、晴香のストーカー扱いだな」
「孝也ったら…」
港店のメンバーのテーブルで暴露された孝也の話は、瞬く間に会場中に広がった。
そして、どうやら副社長は相当なりふり構わず北見さんに迫ったようだという普段の孝也らしからぬ話は、まず男性社員の支持を得た。
どこからどう見ても完璧な副社長でも恋愛に苦戦するのだと、親近感を覚えた社員たちが多くいたようだ。
一方で、女性社員はその逆だった。ひとことでいえば、"ドン引きした"といったところだろうか。いつもスマートな副社長のイメージが一気に崩壊してしまったようだ。
交流会が始まった時は、どこかトゲのある視線を晴香に送っていた本社勤務の女性社員たちですら、同情するように晴香を見て、
「なんか…ちょっと大変ね。まぁ、とにかく…頑張って」
と言う始末だった。
副社長の人気に陰りが出たらどうしようと晴香は密かに心配したが、今こうしてお腹を抱えて笑っている孝也を見る限り、痛くも痒くもないのだろう。