契約夫婦の蜜夜事情~エリート社長はかりそめ妻を独占したくて堪らない~
「それはまぁ…、着いてからのお楽しみということで。担当者は来ないよ。俺が自由に見ていい部屋なんだ」
さすが業界でも名の通った人物だ。契約前の部屋なのに、鍵を渡されて、好きに見ていいなんて。
そんなこと普通ならありえないけれど、『セントラルホーム』の副社長ならそのくらいの融通はきくのかもしれない。
再び、孝也の中に"久我"を感じて晴香は黙り込んでしまう。
そしてネオンが流れる夜の街を車窓から眺めた。
「…交流会」
不意に、孝也の口から言葉が漏れる。
「…え?」
晴香は真っ直ぐに前を向いたままの孝也の横顔を見た。
「…交流会、行くの?」
「交流会…、あ! そういえば!」
晴香は、急に昼間のことを思い出して声をあげた。
「お昼にうちの店に来たとき、なんであんなこと言ったのよ!」
ついつい非難するように言ってしまうが、それは仕方がないだろう。
あの言動は、晴香と孝也の関係を知らない者から見たらどう考えても不自然だった。田所がうまく収めてくれなかったら、切り抜けられたかどうか…。
孝也がわずかに首を傾げて口を開いた。
「べつに、聞いただけだろ。行くの?って。気になったからさ」
「だからって…! 私あの後大変だったんだから。大鳥さんから不審な目で見られて、梨乃にだって…。そもそも、副社長が私の名前を把握していること自体がおかしなことなのに…」
さすが業界でも名の通った人物だ。契約前の部屋なのに、鍵を渡されて、好きに見ていいなんて。
そんなこと普通ならありえないけれど、『セントラルホーム』の副社長ならそのくらいの融通はきくのかもしれない。
再び、孝也の中に"久我"を感じて晴香は黙り込んでしまう。
そしてネオンが流れる夜の街を車窓から眺めた。
「…交流会」
不意に、孝也の口から言葉が漏れる。
「…え?」
晴香は真っ直ぐに前を向いたままの孝也の横顔を見た。
「…交流会、行くの?」
「交流会…、あ! そういえば!」
晴香は、急に昼間のことを思い出して声をあげた。
「お昼にうちの店に来たとき、なんであんなこと言ったのよ!」
ついつい非難するように言ってしまうが、それは仕方がないだろう。
あの言動は、晴香と孝也の関係を知らない者から見たらどう考えても不自然だった。田所がうまく収めてくれなかったら、切り抜けられたかどうか…。
孝也がわずかに首を傾げて口を開いた。
「べつに、聞いただけだろ。行くの?って。気になったからさ」
「だからって…! 私あの後大変だったんだから。大鳥さんから不審な目で見られて、梨乃にだって…。そもそも、副社長が私の名前を把握していること自体がおかしなことなのに…」