契約夫婦の蜜夜事情~エリート社長はかりそめ妻を独占したくて堪らない~
 孝也が小さく息を吐いた。
 恐る恐る伺うように彼を見ると、視線の先には少し落胆したような彼の眼差し。
 がっかりさせちゃったかな…と晴香は思う。
 でもわからないものはわからないのだから仕方がない。クイズではないのだから、ヒントを出してもらうというのもなんだか変な話だし。
 孝也が小さな声で、

「まぁ、仕方ないか」

と呟いた。そして突然、エアコンの効いた部屋にいたせいで少し冷えてしまった晴香の右手に、自らの手をそっと重ねた。
 晴香の胸がどきんと跳ねる。

「…孝也?」

 なぜそんなことをするのかと、晴香は視線だけで問いかける。
 それに対する彼の答えは、およそ晴香の想像とはかけ離れたものだった。
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