契約夫婦の蜜夜事情~エリート社長はかりそめ妻を独占したくて堪らない~
 冗談でもドッキリでもないとしたら、そっちの方が問題だ。いい加減で信用ならない健太郎とは違って、孝也はどこか冷静で頼りになると思っていたのに、いったいどうしてしまったのだろう。
 働きすぎて、少し疲れているのかな?
 何をどう言えばいいかわからずに、晴香は言葉に詰まってしまう。
 そんな晴香に孝也が念を押すように言葉を続けた。

「晴香は結婚したいんだよね」

 少し口を開いたまま、晴香はぴたりと動きを止める。さっき彼と交わしたばかりのカウンセリングのような会話が脳裏に浮かんだ。

「これから結婚相手を探すんだろう? だったら俺と結婚しようよ。晴香の結婚相手の条件に俺当てはまると思うけど」

 私、なんて言ったっけ?
 晴香はさっきの自分の言葉を、必死で思い出そうとする。でもそれよりも早く、孝也がスラスラとひとつひとつを挙げていく。

「お互いに信頼し合える関係で、一緒にいて安心できる、家族とも仲良くしてくれる、地元の人間で、ちゃんと働いている…、ぴったりだと思わない?」
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