契約夫婦の蜜夜事情~エリート社長はかりそめ妻を独占したくて堪らない~
だとしても、晴香はやっぱり納得がいかなかった。どうして孝也は結婚しようなんていうのだろう。
晴香と違って彼は引く手数多なのだ。それにまだ二十八歳で男性としては結婚を急かされる年齢でもないだろう。それなのに恋人でもない晴香と結婚しようだなんて。
疑問だらけの視線を晴香は孝也に投げかける。
孝也がその視線を受け止めて、少し考えてから口を開いた。
「…まぁ、そういう話が社長からあるのも確かだけど。もちろん約束はしていないから、断るつもりだよ。でももし晴香と結婚したら、角は立たないよね」
「あ、そのために…?」
晴香は思いついたように言った。
「社長からの縁談を断るために結婚するのね」
孝也が、首を横に振った。
「違う、そういうんじゃないんだ。何かのためにとかそうじゃなくて、ただ結婚するんだよ。みんなやってる、あたりまえの結婚だ。晴香が結婚したいように俺も家庭を持ちたいんだよ。それに理由なんてないだろう?」
「でも!」
晴香は声をあげる。
「でもそれならどうして私なの? 孝也だったらいくらでもいい人がいるじゃない。昔からすごくモテるって健太郎がいつも言ってた。今だって、女の子たちはみんな孝也が店に来るのを楽しみに待ってるよ。なにも私なんかを…」
「俺は、晴香がいいんだ」
遮るように孝也が言った。
「晴香がいいんだ」
孝也がもう一度繰り返した。
晴香と違って彼は引く手数多なのだ。それにまだ二十八歳で男性としては結婚を急かされる年齢でもないだろう。それなのに恋人でもない晴香と結婚しようだなんて。
疑問だらけの視線を晴香は孝也に投げかける。
孝也がその視線を受け止めて、少し考えてから口を開いた。
「…まぁ、そういう話が社長からあるのも確かだけど。もちろん約束はしていないから、断るつもりだよ。でももし晴香と結婚したら、角は立たないよね」
「あ、そのために…?」
晴香は思いついたように言った。
「社長からの縁談を断るために結婚するのね」
孝也が、首を横に振った。
「違う、そういうんじゃないんだ。何かのためにとかそうじゃなくて、ただ結婚するんだよ。みんなやってる、あたりまえの結婚だ。晴香が結婚したいように俺も家庭を持ちたいんだよ。それに理由なんてないだろう?」
「でも!」
晴香は声をあげる。
「でもそれならどうして私なの? 孝也だったらいくらでもいい人がいるじゃない。昔からすごくモテるって健太郎がいつも言ってた。今だって、女の子たちはみんな孝也が店に来るのを楽しみに待ってるよ。なにも私なんかを…」
「俺は、晴香がいいんだ」
遮るように孝也が言った。
「晴香がいいんだ」
孝也がもう一度繰り返した。