契約夫婦の蜜夜事情~エリート社長はかりそめ妻を独占したくて堪らない~
 孝也の前代未聞のプロポーズの後、夜遅くに家に送り届けてもらった晴香は、眠れない夜を過ごした。
 繰り返し頭の中に浮かんだのは、本当にこれでよかったのかという思い。
 孝也はもはや会社にとってなくてはならない存在となりつつある。彼が来て『セントラルホーム』は飛躍的に売り上げを伸ばした。孝也が示した新しい方針が間違いないことは明白だけれど、だからこそ彼がいなければ成り立たない。
 その彼と自分が結婚するだなんて。
 それからもうひとつ晴香を不安にさせたのは、姉弟のように育ったふたりが結婚することに周りがなんというだろうということだった。
 孝也なら、家族は喜ぶだろうなんて勝手に思ったけれど、考えてみれば孝也の家族は?
 将来有望なひとり息子の結婚相手として、自分は認められるだろうか。仲良くしてはいるけれど、それはあくまで彼の姉のような存在としてで、結婚するとなればまた別の話なのではないだろうか。
 晴香は孝也と違ってこれといって優秀でもない、真面目なだけが取り柄の地味な女なのだ。がっかりされたらどうしよう。
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