契約夫婦の蜜夜事情~エリート社長はかりそめ妻を独占したくて堪らない~
梨乃が呆れたような声を出した。
「夏休みに一緒に旅行するんでしょ?」
そんな梨乃に七瀬は平然として言い返した。
「あれ? 西沢先輩、業務を円滑にするための交流会って言ってませんでした? だったら、彼氏がいても問題はないはずです。しかもそんなこと言うなら、そもそも西沢先輩だって既婚者じゃないですか」
梨乃は、ぐうと言葉に詰まる。
それでも六歳も年下の子に負けていられないと、もう一度口を開いた。
「そ、そうよ、業務を円滑にするための交流会なんだから、入社したての大鳥さんにはまだ早いかもしれないわね」
「えー、入社したてだからこそじゃありません? 皆さんに顔を知ってもらわなきゃ」
「あなたねぇ…」
梨乃と七瀬の間に不穏な空気が流れそうになったちょうどその時、
「はいはい、そこまで、そこまで」
と声がかかり、三人は一斉に振り返った。
ドアのところに立っているのは、店長の田所だった。
お昼のこの時間は営業マンは大抵出払っていて、田所も例に漏れず朝から外出していたはずだが、いつのまにか戻ってきていたようだ。
梨乃と七瀬のやり合いはここ最近では毎日のことだから、不穏な空気になる前に止めに入ったのだろう。
「夏休みに一緒に旅行するんでしょ?」
そんな梨乃に七瀬は平然として言い返した。
「あれ? 西沢先輩、業務を円滑にするための交流会って言ってませんでした? だったら、彼氏がいても問題はないはずです。しかもそんなこと言うなら、そもそも西沢先輩だって既婚者じゃないですか」
梨乃は、ぐうと言葉に詰まる。
それでも六歳も年下の子に負けていられないと、もう一度口を開いた。
「そ、そうよ、業務を円滑にするための交流会なんだから、入社したての大鳥さんにはまだ早いかもしれないわね」
「えー、入社したてだからこそじゃありません? 皆さんに顔を知ってもらわなきゃ」
「あなたねぇ…」
梨乃と七瀬の間に不穏な空気が流れそうになったちょうどその時、
「はいはい、そこまで、そこまで」
と声がかかり、三人は一斉に振り返った。
ドアのところに立っているのは、店長の田所だった。
お昼のこの時間は営業マンは大抵出払っていて、田所も例に漏れず朝から外出していたはずだが、いつのまにか戻ってきていたようだ。
梨乃と七瀬のやり合いはここ最近では毎日のことだから、不穏な空気になる前に止めに入ったのだろう。